$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$
$\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$
$\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$
$\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$
$\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$
$\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$
本ページでは確率変数の分布を特徴づける二つの関数を学んでいきます.
「分布関数」と「確率関数(確率密度関数)」です.
これがわかれば分布の形がわかり,いろいろな分析ができるようになります.
目次
分布関数
確率変数$X$の分布関数(Distribution Function)は次のように定義される関数$F_X(x) $です.
F_X(x) = P(X \le x)
\end{align}
つまり, ある値までの累積の確率です.累積分布関数(Comulative Distribution Function)と呼ぶこともあります.
分布関数の性質
分布関数は次の性質を持ちます.
分布関数の値域は$[0,1]$
つまり, 全ての$x$に対して,
0 \le F_X(x) \le 1
\end{align}
また,
&F_X(-\infty) = \lim_{x \to -\infty} F_X(x) = 0\\
&F_X(\infty) = \lim_{x \to \infty} F_X(x) = 1
\end{align}
が成り立ちます.
分布関数は非減少
つまり,
x_1 < x_2 \Longrightarrow F_X(x_1) \le F_X(x_2) \end{align}
分布関数は右連続である
つまり,全ての$x$に対して,
F_X(x) = F_X(x+) = \lim_{t\to x\\t > x}F_X(t)
\end{align}
が成り立ちます.
分布関数を使った確率計算
分布関数を使って確率計算できます.以下, $a < b$とします.
&P(a < X < b) = F_X(b) - F_X(a)\lnl &P(X < a) = F_X(a-) = \lim_{t\to a\\t < a}F_X(t)\lnl &P(X = a) = F_X(a) - F_X(a-)\label{eq-p-x-a} \end{align}
確率関数(確率密度関数)
$\eqref{eq-p-x-a}$のようにとある点$x$での確率を表す確率関数$f_X(x)=P(X=x)$があれば便利に確率を計算できます.
離散型の場合は, $F_X(x)$は連続ではない点を持つため$F_X(a)-F_X(a-)$は$0$でない値を持つことがあります.
一方, 連続型の場合は$F_X(x)$は全ての$x$で連続なので必ず$F_X(x)-F_X(x-)=0$になります.つまり特定の点$x$での確率は必ず$0$になります.
これではちょっと扱いづらいですよね.
そこで離散型と連続型で別々の関数を考えることにします.
離散型の場合は確率関数, 連続型の場合は確率密度関数と呼ばれます.
確率関数
離散型確率変数$X$の確率関数(Probability Function)は次のように定義される関数$f_X(x) $です.
f_X(x) = P(X=x)
\end{align}
この定義より,確率関数と分布関数は
F_X(x) = P(X \le x) = \sum_{k \ge x}f_X(k)
\end{align}
で結び付けられます.
確率関数の性質
確率関数は次の性質を持ちます.
確率関数の値域は$[0,1]$
つまり, 全ての$x$に対して,
0\le f_X(x) \le 1
\end{align}
が成り立ちます.
確率関数の総和は$1$
つまり,
\sum_{i} f_X(x_i) = 1
\end{align}
確率密度関数
連続型確率変数$Y$の確率密度関数(Probability Density Function)は次のように定義される非負の関数$f_X(x)$です.
全ての$x$で
F_X(x) = \int_{-\infty}^x f_X(t) \delt t
\end{align}
連続型確率変数の分布関数は全実数で連続であり, 確率密度関数が連続な点$x$で微分可能で
\frac{\delt F_X(x)}{\delt x} = f_X(x)
\end{align}
が成り立ちます.
確率密度関数の性質
確率密度関数は次の性質を持ちます.
確率密度関数の値域は$[0,\infty)$
つまり, 全ての$x$に対して,
0 \le f_X(x) < \infty \end{align}
確率密度関数の区間$(-\infty,\infty)$の定積分は$1$
つまり,
\int_{-\infty}^{\infty} f_X(x)\delt x = 1
\end{align}