第3章 例題13(p74)

記事の目的

明解演習 数理統計の勉強をしながら気づいた点を書いていきます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

明解演習数理統計 [ 小寺平治 ]
価格:2592円(税込、送料無料) (2018/4/3時点)


他の問題に関する記事はこちらから。
スマートフォンでの閲覧では数式が画面からはみ出る場合があります。必要に応じてPCモード等にしてご覧ください。

スポンサーリンク


$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$ $\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$ $\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$ $\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$ $\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$ $\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$

第3章例題13(p74)

(2)の解答を補足します

この問題の肝となるのは(1)の結果に帰着させるところですが、肝心の部分を脱字(下記の赤字部分)しているので帰着できていません。
以下、$ \sum = \sum_{i=k}^n $とします。

\begin{align*}
\displaystyle
F(x)
&= P(X_{(k)} \le x) \\
&= \sum P(X_{(1)} \le x,\cdots ,X_{(i)} \le x , X_{(i+1)} > x , \cdots X_{(n)} > x ) \\
&= \sum P(X_{(1)} \le x)\cdots P(X_{(i)} \le x )P(X_{(i+1)} > x ) \cdots P(X_{(n)} > x ) \\
&= \sum \textcolor{red}{{ }_nC_i} x^i(1-x)^{n-i}
\end{align*}

これで(1)の結果に帰着することができました。
ところで、この式説明がないと難しいですよね。
次の章で解説します。

$k$番目の確率変数の分布関数の求め方

私の駄文よりもこちらのほうが一般的かつわかりやすいので、あわせてどうぞ。
Wikipedia – 順序統計量

解説

$ X_{(k)} \le x $ というのはどのような状態かというと、下記の図のように、
小さいほうから$k$番目までは$x$を下回っている必要があるが、
$k+1$番目から$n$番目までは、$X_{(k)}$より大きければどこでもよいという状態です。

ここで、$i$を$k \le i \le n$となる整数とし、$X_{(i)} \le x$かつ$X_{(i+1)} > x$とします。
ただし、$i=n$の時は後者の条件はないものとします。
これを図で表すと下図のようになります。

この図のようになる確率$P_i$は、

\begin{align*}
\displaystyle
P_i &= P(X_{(1)} \le x ,\cdots , X_{(k)} \le x , \cdots , X_{(i)} \le x , X_{(i+1)} > x , \cdots X_n > x)\\
&= P(X_{(1)} \le x)\cdots P(X_{(k)} \le x) \cdots P(X_{(i)} \le x) \times \\
&\qquad P(X_{(i+1)} > x)\cdots P(X_{(n)} > x)
\end{align*}

となります。
これより、$P_i$は$n$個の確率変数から$i$個選び、その全てが$x$より小さく、その他の$n-i$個全てが$x$より大きい確率であることがわかります。
従って、
\begin{align*}
\displaystyle
P_i &= P(X_{(1)} \le x)\cdots P(X_{(i)} \le x) \cdot P( X_{(i+1)} > x ) \cdots P(X_{(n)} > x)\\
&= {}_n C_i P(X_a \le x)^i P(X_b > x)^{n-i} \\
&\qquad (a,b = 1,2,\cdots n)\\
&= {}_n C_i x^i(1-x)^{n-i}
\end{align*}

と書けます。

最初に述べた通り、$i$は$k \le i \le n$ですから、

\begin{align*}
\displaystyle
F(x)
&= P(X_{(k)} \le x) \\
&= \sum_{i=k}^n P_i \\
&= \sum_{i=k}^n { }_nC_i x^i(1-x)^{n-i}
\end{align*}

となります。