ex6.2.4 幾何分布の分散のUMVUE

はじめに

「入門・演習 数理統計」の演習問題の自作解答を紹介します。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

入門・演習数理統計 [ 野田一雄 ]
価格:3780円(税込、送料無料) (2018/4/3時点)



間違い等発見されましたらご指摘ください。
他の解答はこちらから。
なお、問題文は(必要がない限り)掲載しておりません。テキストを横に置いてご覧ください。

また、スマートフォン等では数式が画面からはみ出る場合があります。数式部分は横スクロールできます。



スポンサーリンク


$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$ $\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$ $\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$ $\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$ $\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$ $\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$

ex6.2.4

幾何分布は1パラメータの指数分布族であり,その$n$個のランダム標本の結合密度関数は

\begin{align}
f(\bm{x};p) &= \exp\left(\log(1-p)\sum_{i=1}^n x_i + n\log p\right)
\end{align}

となる.レーマン・シェフェの定理より$S=\displaystyle \sum_{i=1}^n X_i$の関数となってい分散の不偏推定量がUMVUEとなる.
つまり$T=\displaystyle \frac{(n+S)S}{(n+1)n}$が分散の不偏推定量であることを確かめればよい.

幾何分布$\mathrm{G}(p)$は負の二項分布$\mathrm{NB}(r,p)$の$r=1$としたものに一致する.負の二項分布の再生性より,$S$は$\mathrm{NB}(n,p)$に一致するので,

\begin{align}
&E(S) = \frac{n(1-p)}{p}\Lnl
&V(S) = \frac{n(1-p)}{p^2}\Lnl
&E(S^2) = V(S) +E(S)^2 = \frac{n(1-p)}{p^2}\Big(1+n(1-p)\Big)
\end{align}

であることを用いると,
\begin{align}
E(T) &= \frac{1}{n(n+1)}\Big(nE(S) + E(S^2)\Big)\lnl
&=\frac{1}{n(n+1)} \left\{ \frac{n^2 (1-p)}{p} + \frac{n(1-p)}{p^2}\Big(1+n(1-p)\Big) \right\}\lnl
&=\frac{1}{n(n+1)} \frac{n(1-p)}{p^2} (np + 1+ n – np )\lnl
&=\frac{1}{n(n+1)} \frac{n(n+1)(1-p)}{p^2}\lnl
&=\frac{1-p}{p^2}
\end{align}

これは幾何分布$\mathrm{G}(p)$の分散$\cfrac{1-p}{p^2}$に等しいため示された.