ex1.5.3 総数と故障台数がわかっている場合のテストの回数に関する確率

はじめに

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なお、問題文は(必要がない限り)掲載しておりません。テキストを横に置いてご覧ください。

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$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$ $\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$ $\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$ $\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$ $\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$ $\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$

ex1.5.3

(a) 最初の3回で1台不良品を見つけ、4回目でもう1台の不良品を見つける確率だから、

\begin{align}
p_4 = \binom{3}{1}\frac{2}{6}\frac{4}{5}\frac{3}{4} \cdot \frac{1}{3} = \frac{1}{5}
\end{align}

(b)
「4回ですむ」の解釈に迷います。テキストの答え通りになるのは①の場合です。
①「4回ですむ」=「4回以内に両方の不良品をテストして発見する」と解釈します。
2回目で不良品を両方見つける確率(つまり、1台目も2台目も不良品である確率)は、

\begin{align}p_2 = \frac{2}{6}\frac{1}{5}\end{align}

3回目で不良品を両方見つける確率は、
\begin{align}p_3 = \binom{2}{1}\frac{2}{6}\frac{4}{5}\frac{1}{4}\end{align}

以上より、4回以内に両方の不良品をテストする確率は、

\begin{align}p_2 + p_3 + p_4 =\frac{2}{5} \end{align}

テキストの答えと一致します。

②「4回ですむ」=「4回以内に両方の不良品を発見する」と解釈します。
①と違うのは、「テストして」という条件がなくなったところです。
何を言っているかというと、今回不良品の数は2台と分かっているので、4台目までに不良品が1台も出なければまだテストしていない2台が不良品と分かるじゃないかということです。
その4台目までに不良品が1台も出ない確率qは

\begin{align}q = \frac{4}{6}\frac{3}{5}\frac{2}{4}\frac{1}{3}\end{align}

したがって、4回以内に両方の不良品を発見する確率は、
\begin{align} p_2 + p_3 + p_4 + q = \frac{7}{15}\end{align}

③「4回ですむ」=「4回目のテストで不良品である2台が確定する」と解釈します。

\begin{align} p_4 + q = \frac{4}{15}\end{align}

ちゃんと全確率の定理を使おう

上記の答えは全確率の定理を暗黙的に使っており、この章の演習の目的からすると少しわかりにくい解答になっていました。
(a)を改めて全確率の定理を使って解答します。

3台目までテストが終わった場合に、$A_i$を「$i$台目のワープロが不良品であり、その他2台のワープロは良品である事象」とする。
今回求める確率は、

\begin{align}
p_4 = P(F_4 | A_1 \cup A_2 \cup A_3)
\end{align}

と表される。なお$A_1,A_2,A_3$は互いに排反である。ここで、
\begin{align}
P(F_4| A_1) = P(F_4| A_2) = P(F_4| A_3) = \frac{1}{3}
\end{align}

また、
\begin{align}
P(A_1) &= \frac{2}{6}\times \frac{4}{5} \times \frac{3}{4}\\
P(A_2) &= \frac{4}{6}\times \frac{2}{5} \times \frac{3}{4}\\
P(A_3) &= \frac{4}{6}\times \frac{3}{5} \times \frac{2}{4}
\end{align}

であるので、
\begin{align}
p_4 &= P(A_1)P(F_4| A_1) + P(A_2)P(F_4| A_2) + P(A_3)P(F_4| A_3) \\
&= 3\times \frac{4\cdot 3\cdot 2}{6 \cdot 5 \cdot 4}\times \frac{1}{3} \\
&= \frac{1}{5}
\end{align}

となる。