$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$
$\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$
$\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$
$\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$
$\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$
$\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$
条件付き確率とはとある事象$B$が起こったときの事象$A$の確率です.
例えば, サイコロを投げた時,$6$の目が出る確率を求めるとします.
通常の確率ではこれは$\cfrac{1}{6}$となりますが, 出た目が奇数だという条件がついたとするとどうでしょうか.当然$6$は奇数ではないので確率は$0$になりますよね.
逆に出た目が偶数だという条件がついたとするとどうでしょう.$\{2,4,6\}$のうち$\{6\}$が出る確率なのでなんとなく$\cfrac{1}{3}$とすると都合がよさそうですね.
もう一つ例をあげます.あなたが宝くじを買ったとします.宝くじは$200$組からなる組番と6桁の番号がぴったり一致したときに1等となります.宝くじの当選発表を見る際に, 手持ちの宝くじと1等の組番が一致しただけでちょっと興奮するのではないでしょうか.それとは逆に,組番が違った時点でかなり落胆するのではないでしょうか.
これは無意識のうちに条件付き確率を計算し, 1等となる確率が上がったとか1等の確率が$0$になったとかを割り出しているのに他なりません.
このように確率は与えられた条件によって変わります.本ページではそれについて学んでいきたいと思います.
条件付き確率の定義
事象$B$が起こったもとでの事象$A$の確率を $B$が与えられたときの$A$の条件付き確率(Conditional Probability)といい$P(A|B)$と書き,次のように定義されます.
P(A|B) = \frac{P(A \cap B)}{P(B)}
\end{align}
ただし,$P(B)=0$のときは条件付き確率は定義されないものとします.
冒頭の例を定義に従って計算してみましょう.事象$A$は$6$が出る事象とします.つまり$A=\{6\}$です.
出た目が奇数となる事象$B$は$B = \{1,3,5\}$ですので, $A\cap B = \phi$となり ,
P(A|B) = \frac{P(A\cap B)}{P(B)} = \frac{P(\phi)}{1/2} = 0
\end{align}
と計算できます.
出た目が偶数となる事象$C$は$C= \{2,4,6\}$ですので, $A \cup C= \{6\}$となり,
P(A|C) = \frac{P(A\cap C)}{P(C)} = \frac{1/6}{1/2} = \frac{1}{3}
\end{align}
と計算できます.
乗法定理
条件付き確率の定義から,$P(B) \ne 0$のとき次の乗法定理(Multiplication Rule)がすぐに導けます.
P(A\cap B) = P(A|B)P(B)
\end{align}
また,つぎの一般乗法定理も成り立ちます.
&P(A_1 \cap A_2\cap \cdots \cap A_n) > 0\text{のとき, }\\
&P(A_1 \cap A_2\cap \cdots \cap A_n) \\
&\quad = P(A_1) P(A_2|A_1) P(A_3|A_1 \cap A_2) \cdots P(A_n|A_1\cap\cdots \cap A_{n-1})
\end{align}
これの証明はこちらなど参照ください.