1.4.5.関数の極値

$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$ $\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$ $\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$ $\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$ $\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$ $\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$

極値

関数$f(x)$に対し,ある点$a$の近くで常に$f(a) \ge f(x)$または$f(a) \le f(x)$が成り立っている場合,点$a$を極値点(extremum point)といい,$f(a)$を極値(extremum)といいます.
特に,$f(a) \ge f(x)$となっている場合,$f(a)$を極大値といい, $f(a) \le f(x)$となっている場合,$f(a)$を極小値といいます.
また,$f(a) > f(x)$,$f(a) < f(x)$となっている場合は,狭義の極値(極大値・極小値)といいます.

これはつまり,$f(a)$が局所的な最大値または最小値になっていることを示します.

極値となる条件

$f(x)$が微分可能である場合,極値点では$f(x)$の微分係数が$0$になることを利用して極値を探すことができます.

なぜならば,$f(a)$が極大値であるとすると,微分係数の定義式より,

\begin{align}
f(a) = \lim_{h\to 0} \frac{f(a + h) – f(a)}{h}
\end{align}

の符号を考えます.$f(a+h)-f(a) \le 0$であることから,
\begin{align}
\frac{f(a + h) – f(a)}{h} = \begin{cases} \le 0 &(h > 0)\lnl
\ge 0 &(h < 0)\end{cases}
\end{align}

となりますね.つまり$f(x)$が微分可能であるので,$f'(a)=0$でなくてはならないことになります.
極小値の場合も同様にして求まります.

従って,$f(a)$の極値となる必要条件は$f'(a)=0$となることです.
また,$f(a)$が狭義の極値となる必要十分条件は$f'(a)=0$かつ$f'(x)$の符号が$a$の前後で変わることです.

増減表を用いて最大値・最小値を探す

最大値・最小値が存在する場合,極大値・極小値の中での最大値・最小値を探せば十分です.
従って,次のように求めることができます.

  1. $f(x)$を微分し$f'(x)$を求める
  2. $f'(x)=0$を解く
  3. 解の前後での$f'(x)$の符号の変化を調べ,極大・極小を決定する
  4. 解を$f(x)$に代入し値を求め、最大値・最小値を決定する

ここでは例として

\begin{align}
f(x) = \frac{1}{4}x^4 +\frac{2}{3}x^3 – \frac{3}{2}x^2 + 3
\end{align}

の最小値を求めてみます.

(1)$f(x)$を微分し$f'(x)$を求める

\begin{align}
f'(x) &= x^3 + 2x^2 -3x\\
&=x(x^2+2x-3)\\
&=x(x-1)(x+3)
\end{align}

(2)$f'(x)=0$を解く

$f'(x)=0$を解いて,$x=-3,0,1$

(3)解の前後での$f'(x)$の符号の変化を調べ,極大・極小を決定する

増減表を書く.

$
\begin{array}{|c|*7{c|}} \hline
x& \cdots & -3 & \cdots & 0 & \cdots & 1 &\cdots \\ \hline
f’&- &0&+&0 & – & 0 &+ \\ \hline
f & \searrow & f(-3) & \nearrow & f(0) &\searrow & f(1) &\nearrow \\ \hline
\end{array}
$

増減表から極小となるのは$f(-3),f(1)$である.

(4)解を$f(x)$に代入し値を求め、最大値・最小値を決定する

\begin{align}
f(-3) &= -\frac{33}{4}\lnl
f(1) &= \frac{29}{12}
\end{align}

よって$f(-3) < f(1)$なので最小値は$-\cfrac{33}{4}$である.