3.6.事象の独立性

$\newcommand{\lnl}{\\[8pt]}$ $\newcommand{\Lnl}{\\[18pt]}$ $\newcommand{\delt}{\mathrm{d}}$ $\newcommand{\comb}{\mathrm{C}}$ $\DeclareMathOperator*{\ssum}{\Sigma}$ $\DeclareMathOperator*{\sprod}{\Pi}$
条件付き確率では事象$B$が事象$A$の確率に与える影響を説明しました.
しかし, トランプで数字をあてるゲームをしている際に, カードが♡であることを教えられても有益な情報でなく,情報を得る前と後で確率は変わらないですよね.

このように, 条件付き確率が元の確率と等しくなるような事象の関係を学んでいきます.

独立

冒頭の例のように事象$B$が起こったかどうかということが, 事象$A$の確率に影響を及ぼさないとき,つまり$P(A|B) = P(A)$のとき $A$と$B$は独立(independent)といいます.

\begin{align}
&P(A|B) = \frac{P(A\cap B)}{P(B)} = P(A)\\
\Longrightarrow&P(B|A) = \frac{P(A\cap B)}{P(A)} = P(B)
\end{align}

となりますので, 逆に事象$A$が起きたという情報も事象$B$が起きる確率に影響を与えません.
これらを乗法定理を用いて書くと,
\begin{align}
P(A\cap B) = P(A)P(B)
\end{align}

となります.

トランプの例でいうと, $A$:「数字が5である」,$B$:「マークがスペードである」という事象に対し,$A , B$は独立なので , $A\cap B$:「数字が5かつマークがスペードである」という事象の確率は,

\begin{align}
P(A\cap B)= P(A) P(B) = \frac{1}{13} \times \frac{1}{4} = \frac{1}{52}
\end{align}

と求まります.